BONSAI輸出に「可能性」 官民一体で売り込み
県は全国有数の生産地とされる盆栽の輸出に力を入れている。愛好家の高齢化などで国内需要が低迷する中、海外で日本の伝統美に注目が集まっているといい、世界の「BΟNSAI」ファンに売り込み促進を狙う。
二月に発効した日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)による関税撤廃で「追い風に乗りたい」(県担当者)と期待。官民一体での検疫対策や海外バイヤーの呼び込みなどに懸命だ。
県は農業・食品産業技術総合研究機構などと共同研究し、三月に害虫対策の新しいマニュアルを完成させた。欧州は害虫の検査技術が進歩し、一鉢でも見つかればコンテナごと処分の恐れがある。植物防疫所によると、EU諸国は輸出国に対し、最低でも二年間、検査を年六回義務づけるなど検疫基準は厳しい。だが「ガーデニング文化があり盆栽人気が根強い」(生産業者)ためマーケットとして魅力は大きい。
県担当者は「EU向け輸出は年間一万鉢以上で全国一位。品種は真柏(しんぱく)などが人気」と指摘。現在、県内で海外輸出を行う盆栽業者は三十五前後としている。
日本貿易振興機構(JETRO)関東は、海外バイヤーを招く盆栽商談会を不定期で開き、新興国の市場調査も行う。
さいたま市では二〇一七年、世界盆栽大会が開かれ、多くの愛好家や業者が訪れた。これを機に本格的に輸出を始めた川口市の盆栽園「喜楽園」の飯村誠史さん(54)は「国内の需要減と反比例し、海外での評価に可能性を感じた」と語る。
埼玉は、江戸時代から、大消費地・江戸の武士や商人を相手とする植木屋が多かったとされ、盆栽業が発展。生産者団体「埼玉県輸出盆栽研究会」会長の小櫃敏文さん(56)は「検疫対策は大きな課題だが、東南アジア市場なども開拓したい。盆栽が世界で楽しまれる趣味になれば」と話している。
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