讃岐うどんの次は「BONSAI」 取り組み進む。

松盆栽の全国一の産地・高松市で、盆栽ワークショップの講師を育成する取り組みを高松商工会議所が進めている。生産者から学んだ技術や知識を生かし、盆栽の魅力を伝える担い手になってもらおうという狙いがあり、関係者は「讃岐うどんに次ぐ観光資源に。」と期待を込める。


高松市鬼無町の「花澤明春園(はなざわみょうしゅんえん)」で6月、講座が始まった。講師の花澤登人(はなざわ・たかひと)さんと美智子さん親子が、植物が成長する時期に行う芽切りや芽つみについて、目的や注意するポイントを説明。

続いて受講者が黒松の盆栽にはさみを入れ、形を整えた。講座では伝統的なものだけではなく、近年流行している苔玉(こけだま)作りにも挑戦した。


講座は来年2月まで全9回を予定。受講者は最終的に十数個の盆栽を持ち帰って手入れするほか、実際にワークショップを企画して講師として運営する体験もする。美智子さんは「盆栽との日々の関わりの中でノウハウを身につけてもらえれば」と話す。


高松では江戸時代に盆栽づくりが始まったとされ、現在は松盆栽の全国シェアの約8割を占める。海外でも「BONSAI」という言葉が知られるようになり、最近は本場の盆栽を見たいと訪れる外国人愛好家も増えつつある。


高松商工会議所は「讃岐うどんに次ぐ観光資源になる可能性がある。」と盆栽に着目。平成30(2018)年度から「BONSAI RECORD(ボンサイ レコード)」と題したプロジェクトを始めた。講座はその一環で、中心市街地で盆栽ワークショップを体験できる環境を整備するのが目標だ。


今回講座を受講したのは、カフェやゲストハウス、ワインバーや観光案内所などの経営者ら。このうちゲストハウスを経営する小笠原正一さん(48)は、講座で製作した苔玉をさっそく、宿泊者の目にとまりやすい窓際につり下げた。


これまで「盆栽を見に行きたい。」という欧米からの宿泊客を産地に案内した経験もあるといい、「講座で初歩から学び、地元の特産品を自信を持って紹介できるようになれば。」と意気込む。


商議所の担当者は「たまたま立ち寄った場所で気軽に盆栽を体験できれば、新たなファンが生まれ、盆栽を楽しむ人の裾野も広がる。」と受講者の今後の活躍に期待を寄せる。